しみ抜き

 就職浪人の息子から、黒に近いモスグリーンのウィンドブレーカーに似た上着に、

赤いペイントかな?がついているので、

「お母さん、これ落ちる?」

「わからん、落ちないじゃない?」

「どうにかできない?」

「もし、そこを落とすつもりが、にじんでよけいに汚したらたいへんでしょう?だからできない」

「うん、だいじょうぶだよ、失敗しても

ほら、僕がいつか、しょうゆかケチャップで汚したときも、きれいにとれたじゃん」

そうか、そんなこともあったのかなと思いつつ、ちょっと認められているなあと思い、

良い気分になった。

息子から上着を受け取り、どうするか早速ひらめいた、そうだマニキュア落としのリムーバーでやってみよう。

最初はティッシュに含ませてやってみた。それが少々取れたがまだ目立つ。

「こんなもんかもね」とあきらめかけようとしたとき、そうだ、綿棒に含ませてやってみよう、と

それが、それが、綿棒に赤いペイントが付くではありませんか、それで落ちると確信した。

それからは、綿棒を取り替えながらやるとみごとに落ちた。

クリーニングもできると自己満足すると同時に、息子の喜ぶ顔が浮かんだ。

やっぱり、必要とされるうちが花かな

 

 

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