沖縄振興開発金融公庫に職員採用の“能力”と“適性”はある?

 沖縄振興開発金融公庫(沖縄公庫)は 那覇市の新都心に立派な建物を作ったばかりである(写真参照)。 さすが、内閣府所管の政府系金融機関である。拍手! その 根拠は法律に基づく。いちおう由緒ある法人ということになるのかな。再び拍手 !

 就職を希望する学生は、沖縄公庫指定の 履歴書(一般的にはエントリーシートと言われている)を 提出しなければならない。その指定履歴書の中に こんな項目がある。

 <公庫内に知り合いがいますか?>
 <“はい”と答えた方はその方のお名前をご記入ください>

 う〜む。何のためにこんなことを聞くのだろう。疑問に思った私が 沖縄公庫に「この項目を載せている意味」を問い合わせたのは 7月下旬だった。担当者は不在だったが、 電話を受けた職員が担当者に伝えておいてくれることになった。 それから2ヵ月以上が経ち、未だに返事がない。その理由を 私は“理解”できる。答えられないのである。

 沖縄公庫が答えられないのなら、 私が答えを出してあげよう(大きなお世話?)。

 厚生労働省の見解はこうである。 「基本的には、採用選考にあたっては、本人の『能力』と 『適性』をはかるために必要なことだけを聞いてください、ということです。 『能力』と『適性』をはかるうえで、知り合いがいるかどうかの問いが 本当に必要なのかどうか。絶対ではないが、一般的には必要ないと 考えられる」

 厚生労働省では沖縄労働局に連絡し、 本当に必要かどうか確認する予定である。必要なら残し、 必要ないなら削除の指示をすることになる。

 沖縄公庫がどんな回答をするのか、来年の指定履歴書を 注目しましょう。

 なお、私の見解は厚生労働省より踏み込んだものである。 つまり「あってはいけない」。こういう質問項目は情実に つながる恐れがあるからだ。百歩譲って民間企業ならまだしも、 政府系の法人は色眼鏡で学生を見るようなことはしないほうがいい。

 ちなみに、沖縄県内のほかの銀行はどうだろうか。指定履歴書には この項目がない銀行でも、面接の際には学生に「知り合い、いる?」と 聞いたりしているでしょ。お金を扱う仕事だから、身元や素性が 確実な学生を採用したいという気持ちは分からないではない。 銀行だから“担保物件”を押さえたいのだろう。 小心翼翼らしさあふれる習性かな?

 採用担当者に採用業務の“能力”と“適性”がないことを棚に 上げてはいけない。(沖縄王・西野浩史)






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