向陽高の看板は威風堂々たれ

 具志頭村の331号を走っていたら、 興味深い看板(張り紙)が目に入ってきた(写真上)。

 「大躍進! 現役合格おめでとう
  国公立大学105名!(琉大63名) 私立大学45名(上智他)
  向陽高校PTA」

 「えっへん! おっほん! まいったか!」という声が 聞こえてきそうな内容である。

 私の第一印象は「ここは予備校なの?」だ。 進学実績を外に向けて“自慢”するのは、 予備校や塾がよくやる手法である。でも、 ここは沖縄県立向陽高だった。ほう。というわけで、 県教委などに聞いた。

 同高は1994年4月に開校した。開邦高(南風原町)や 球陽高(沖縄市)に代表される進学校群の中では歴史が浅い。 しかし、「南部では初めての進学校」という 位置にある。糸満市と東風平村、具志頭村、玉城村、 知念村、佐敷町、大里村の中学生なら目指すことのできる 高校なのだ。

 地域の期待が大きいうえ、南部初の進学校という 使命を最初から担っている同高である。 331号からはっきり見える場所(写真下)にある看板で、 「どんなもんだい!」と胸を張り、 「南部の中学生たち、頑張ってうちに来いよ」と 宣伝したくなる気持ちは分からないではない。具体的な 進学実績は、南部地域の中学生と その親のやる気を刺激するに違いない。事実、 看板には「向陽高校PTA」の文字が見える。

 ただ、小さな小さな“問題点”が2つあるので、 指摘しておこう。

 琉大より偏差値の高い 国公立大はたくさんあるにもかかわらず、 「琉大63名」と特筆してあるのは地元志向の強さの表れだろう。 でも、それならば、「私立大学45名(上智他)」ではなく、 「私立大学45名(沖国大ほか)」や「私立大学45名(沖大ほか)」などと したほうが整合性がある。今のままではかなり露骨である。

 「PTA」を前面に出すのではなく、 堂々と「向陽高校」の名前で張り紙するほうがいい。 「向陽高校PTA」の文字から私が感じてしまうのは、 「うちの親御さんたちがやりましょうと言うので、 ああいう看板が出来たんです」と いう学校側の逃げ道・言い訳である。自信を持って 自慢するほうが爽やかに感じる。

 一部の“正義派”マスコミがもしかしたらこの張り紙を 批判するかもしれない。「合格できなかった生徒の気持ちを 考えていない」や「学歴偏重を助長しかねない」、「公立校なのに」 などなど、キレイゴトの理屈はいくらでも出てくる。 しかし、向陽高は「進学実績を上げることの何が悪いのか。 そのことを宣伝して何が悪いのか」と堂々としていればいい。

 それからね、台風の影響だろうか、 私が撮影した日(7月24日)に見た限りでは、張り紙の両端が少し ヘロヘロになっているのが気になった。きれいに整え、 威風堂々と参りましょう。(沖縄王・西野浩史)






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