首里の路地で見た、愛に満ちた街並み

 海辺の町ナザレ(ポルトガル)や「ドン・キホーテ」の舞台 カンポ・デ・クリプターナ(スペイン)、美しい内庭作りで知られる セビリア(同)、アンネフランクの隠れ家があった アムステルダム(オランダ)などなど、 欧州で観光地化された地域を歩くと、 街並みがけっこう統一されていることに気づく。 家の色まで決められていたりする地域さえあるのは、 風景を大切にしている証拠だろう。

 これに比べると、日本は街並みの統一感が少ない。 てんでばらばらに家やビルを建てて“自己主張”している から、街全体の風景がまとまりに欠ける。 沖縄も例外ではない。

 ところが、である。那覇市首里の、ある路地で、 統一感あふれる“街づくり”を試みているところがある。 路地には花が植えられ、「ようこそ私たちの庭に」などと 英語で記された手作りの標識が随所に掲げられ、 道の角には石積みが施されるなど、 歩いて、見て、楽しめるのだ。

 この地域に住む幸喜さんの“指導”の下、 賛同する住民たちの手で花が植えられ、 手入れされている。この地域に住む 金城さんの話によると、取り組みは5〜6年前に始まった。 未だに知る人ぞ知る場所のようだ。

 ということで、住所は書かない。 大勢が押しかけることになれば、賛同していない人にも “街づくり”を進めている人たちにも迷惑がかかる危険性が あるからだ。どうしても場所を知りたい場合は、 メールをください。個人的になら教えます。

 路地を歩くたび(全部歩き回っても数分かからないほどの 狭い範囲)に羨ましくなるのは、住人の地元への「愛」を 感じるからだろうなぁ。(沖縄王・西野浩史)
 




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