これがアメリカの大きな八百屋ファーマーズ。
でかいでしょう


ファーマーズの野菜売り場。
取材に行った時は残念ながら、ゴーヤー(もどき)なし。 丸くっていぼいぼは、沖縄のゴーヤーとそっくりでした。 ここでは、サボテンの葉とか、よく分からないものが売られている。


自家製ゴーヤーの前で由子さん


2人の子供に囲まれる由子さん


筆者の森暢平(モザイク入り)

アメリカでゴーヤーチャンプルーは食べられるか?

 沖縄の皆さん、毎日、暑いです か? 本日の筆者は 米国アトランタ在住の森暢平(3 6歳)です。はじめまして。わた くし、N変酋長の元同僚。現在 は、 当地にあるCNNというテレビ局 に勤めております(以上、自己紹 介でした)。

 さてさて、本日のテーマは「ア メリカでゴーヤー チャンプルーは食べられるか ?」。 沖縄王らしい、インターナショナ ル、というか チャンプルーな内容。実は、我が 家のそ ばにあるファーマーズ・マーケッ ト (巨大な八百屋さん)にゴーヤを 発見!!!。 1パウンドで1ドル29セント也 (日本風に言うと 100グラムで35円ぐらい)。 ニガウリには目がない我輩、さっ そく買い求め、 妻にゴーヤーチャンプルーの調理 を 命じた(いや、お願いした)ので す。 でも、何かちょっとだけ、味が違 う。 あの心地よい苦さがないのです ね……。

 これは一体、何? 「アメリカ ではゴーヤーが 食べられないのか――」と思った 私。 早速ウチナーンチュを探してみま した。 で、見つけました。子供の日本人 補習校の ママさんの中から。チェンバレン 由子さん(39) =旧姓座間味由子さん=。泊港か ら船 に乗って着くあの渡嘉敷島のご出 身です。

 沖縄の基地に勤務していたジョ リーさん(44)と 結婚して、9年前に渡米した元気 一杯の女性です。 ちなみにジーン君(7)、マーク 君(4)の2人の ワンパク小僧の母でもあります。

 さて、さっきのアメリカのゴー ヤーというか、 ゴーヤーもどき。さっそく由子さ んに 聞いてみると、「あれはメキシコ 産。 フィリピンから渡ったものかも知 れませんよ。 ビター・メロンといって瓜の一種 だけど、 ゴーヤーではないです」とのこ と。 うーん。残念。やっぱり、アメリ カじゃ ゴーヤーチャンプルーは食べられ ないのか……。

 が、なんと、この由子さん。 自宅のお庭でゴーヤーを栽培して いる というではありませんか。早速、 お宅を訪ねてみました。 と言っても広いアメリカ。由子さ んが住む アラバマ州タラデガまでは、 我が家から車で2時間。往復300キ ロメートルの道のり。 N変酋長から取材費ゼロを言い渡 された私めには、 とっても遠かった。

 まあ、愚痴はともかく、ありま した。 庭先にゴーヤがあるおうち が……。地元では 「ゴーヤー・ハウス」と呼ばれて いる(ウソです) 由子さん宅に到着です。この家に 越してきたのは1年前。それまで は カリフォルニアにお住まいだった そうです。

 お庭を見てびっくり。ゴーヤー は、 長っ細い「長ニガ瓜」と真ん丸い 「あばしゴーヤー」が 数株ずつ。もう由子さんの身長ぐ らいに伸びていて、 今まさに実がなろうとするところ (取材はちょっと前で6月末で す)。そればかりか、 ヘチマ、モロヘイヤ、エンサイ、 ヨモギ、ガーリック、 ヒョータンなどなど…….。沖縄 料理に必要な 野菜はほとんど自前で栽培してい るのだそうです。

 で、ゴーヤーの育ち具合はとい うと、 手入れが難しいとのこと。アメリ カは沖縄と 違って湿気が少なくカラッとした 気候。 毎日、何回か水をやらないと葉っ ぱが しなってしまい、実も大きくなら ないんですって。 由子さんの話によると、7月中旬 から2カ月ぐらい、 収穫できるそうです。 「実がなったら、どうぞまた来て ください。ゴーヤー チャンプルーをご馳走しますよ」 とやさしい言葉を いただきました。うーむ。 「アメリカでもゴーヤーは育つ。 でも、 水やりが大変。でもしかしゴー ヤーチャンプルー は食える」。というのが本日第一 の結論です。私、 あとでいろんな本を読んだり、ほ かに 話を聞いてみると、アメリカに住 んでいるウチナーンチュの 女性では、ゴーヤー栽培している 人がけっこう多い んだそうです、ちなみに。

 さて、ゴーヤーがまだだったの で、私、 由子さん宅でそうめんチャンプ ルーを いただきました。そうめんはカリ フォルニア製 みたいだったけど、 ガーリックをたっぷり入れて 沖縄と同じ味。うまかった。

 ところで由子さんの目下の課 題は 二人の子供に沖縄の文化を教える こと。 沖縄料理を食べさせるのもその一 環だそうです。 でも、「上のジーン君はゴーヤー がまだ食べられない。 下のマーク君は食べるんだけ ど……」と由子さん。 ジーン君もいつか食べるようにな るかな。

 ほかに珍しいところでは、 ミミガーを作ることもあるとか。 この辺の黒人さんたちもブタの耳 を食べることが あって、スーパーで手に入るんだ そうです。 あとはテビチ、トーフチャンプ ルー、ソーキ汁……。 まあ、何でも作れるってことです ね。 アメリカに住んでいても、ほとん で沖縄ですね。 で、本日の第二の結論は「アメリ カでも、 ウチナー・ライフ」は可能。

 BUT。一つだけないものがあっ た。泡盛……。 残念。で、自宅に帰った私、 渡嘉敷からはるか離れたアラバマ で力強く生きる 由子さんにビールで乾杯したので ありました。 (森暢平・CNN記者)





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