沖縄のいっぴん

アンマーの粋なアイディア
ひとひねり


 佐敷町新開にある農産物直売所で一風変わったサーターアンダギーが販売され ている。その名も「ひとひねり」だ。サーターアンダギーといえばチューリップ の花のような丸い形が一般的だが、この「ひとひねり」はスティック状なのだ。

 これは珍しいと思い、一袋買って帰った。さっそく食べてみる。 周りはカリッとしていて中は軟らかい。黒ごまが入っているので プチプチとした食感や風味もいい。何よりスティック状なので 食べやすい。おやつにちょうどよく、一本で小腹が満たされる。 が、ついついあとを引く。

 後日、この「ひとひねり」を作っている 佐敷町農漁村生活研究会加工部を訪ねた。 加工部は、農産物直売所の裏手にある婦人の家で、 佐敷町のさまざまな特産品を作っている。

 ちょうど作業を終えて一息ついていた部員代表の城間廣子さんと 婦人の家を管理している玉寄米子さんに話を聞くことができた。

 この研究会は1996年に佐敷町特産のパッションフルーツ加工品の試作研究にと りかかった。同時期に「ひとひねり」の試作も始まる。
 97年に起業を開始した。2000年には地域ブランド起業支援事業の 導入により、加工活動の態勢が整えられるようになった。 県や町の協力で大型冷蔵庫やフライヤー、蒸し器など 業務用の調理器具が揃えられ、加工品の種類が増えた。

 加工部の部員は19人だ。佐敷町に住む主婦が交代で 火曜から土曜までの午前中、婦人の家で加工品の調理に あたっている。

 サーターアンダギーを食べやすいようスティック状に してみようというアイデアは部員の中から自然に出てきた。

 「かりんとうみたいな感じで子どもたちにも好評なんですよ」と 城間さんは出来栄えに満足そうだ。

 ラベルには「アンマー(お母さん)手づくり」とある。 佐敷町のお母さんたちの愛情が込められた、 まさにアイデアを「ひとひねり」したサーターアンダギーなのだ。

 アンマー手づくりは他にもある。 パッションフルーツを加工した餅やゼリー、カステラ、そして 100%国産大豆を原料にした味噌、あらゆる料理に使える「万能つゆ」や「万能 たれ」など、これらの特産品は贈答用としても 注目を集めている。

 特に「万能つゆ」は好評で、 城間さんたちが調理をしながら自分たちの味を 作り上げていったものだ。

 また、佐敷町の畑でとれた新鮮な野菜や卵が集まる 農産物直売所の野菜を使ったお惣菜の調理・販売にも 力を入れている。

 ちなみに、この農産物直売所の野菜は本当にお薦めだ。 茎まで太くどっしりした大きなブロッコリーが1個50円〜100円、 ほかの葉野菜もみな青々していて安い。 1個100円のキャベツはびっくりするほど大きかった。

 佐敷町特産品の数々は徐々に知られるようになり、 最近では本土からの注文も増えている。 忙しい時は部員が総出で調理する。

 「手づくりの良さを大切にしたい」という 部員一人ひとりの思いが、佐敷町から全国へ広がっている。 (沖縄王・伊藤珠央)


「ひとひねり」1袋(10本入)200円
問い合わせ:佐敷町農漁村生活研究会加工部
住所:佐敷町新開1-240
電話:098-947-6624(担当/城間寛子・玉寄米子)

農産物直売所
住所:佐敷町新開1-240
電話:098-947-1811
営業時間:午後1時〜午後7時
定休日:月曜






©2002, 有限会社沖縄王