羽地海を見渡せる庭は圧巻


「おばぁ〜! 来たよ〜!」と思わず呼びたくなる家


たっぷりサラダとコーヒー。添えられた花がメチャかわいい


これが幻ピザ。あぁ〜、香りが漂ってくる



住所:本部町山里1153-2
地図
電話:0980-47-5537
営業時間:午後12時から午後7時
定休日:火曜、水曜
駐車場:ある(15台可能)
「ピザ喫茶 花人逢」の秘密

 夕刻迫るある日、私と友人は「花人逢」に 向かっていた。2人とも今回訪れるのが初めてであるうえ、 まだ明るい時間帯であるにもかかわらず天気のせいか 薄暗いので、2人で「本当にこの道で 当たってる(注:沖縄的表現。正しくは「合ってる」)のかなぁ?」と 心細くなりながら目的地を目指した。 「花人逢」という看板を見つけた時はそろってホッと胸を なでおろした。

 閉店間際にもかかわらず、 店主の久場雪美さんは私たちの 取材依頼を快く引き受けてくれた。

 お店を始めたのは1998年のことである。 すぐ隣に自宅がある久場さんは、「この場所と景色を 一人占めにするのはもったいない!」ということで 店を始めるに至る。 瓦屋根の古風漂う建物はお店という雰囲気ではなく、 一般の家のようだ。 「親戚の家に遊びに来る感覚で来て欲しい」という 久場さんのアイディアをもとに設計された。 店内のデザインや小物には古きよき時代の雰囲気を備えた物を 揃えている。久場さんの気遣いあふれる おもてなしをあちらこちらに垣間見ることができる。

 ここのピザが「幻のピザ」と呼ばれるいきさつを聞いてみた。 久場さんは13年前、ある料理教室でこのピザを教わった。 その先生は20年前に東京で人気のあったフランス料理店 でシェフをしていた人である。 その先生の名前をとって「げんちゃんピザ」と久場さんは呼んでいる (変酋長が大ファンの前川守賢さんと同じニックネームだ)。 今はもうそのお店はなく、その先生も還らぬ人となってしまった。 これが「幻」と呼ばれるゆえんだ。

 「幻のピザ」に久場さんはもう1つ貴重な“要素”を 加えてある。大国林道から汲み上げてくる 天然の湧き水である。スタッフが大国林道まで出向き、 水を汲んでくる。その水で生地を作る。 そのおいしさといったら! 未だにこの味を知らない友人を 連れて来て、友人がピザを口に運んだ瞬間「ね? ね?!」と 言いながら、友人の顔がだんだんほころんでいくのを見たくなる。 そういうピザである。

 店内を見回した友人が、ある言葉が書かれた額に 気づき、「伊波敏男さんと何か関わりがあるんですか?」と 尋ねたところ、「そうなんです。伊波さんの『花に逢はん』という著書に 出会ったのもお店を始めたきっかけの1つなんです」と 言うではないか。

 実はこの日、私と友人は「花人逢」を訪れる前に 嵐山展望台で「ちょっと一息」した。 屋嘉地島が一望できる。 その島の端に位置するハンセン病患者の施設「愛楽園」の話を 友人から教えてもらった。その直後の『花に逢はん』の 登場なので、その偶然に私と友人は驚いてしまった。 ハンセン病の経験を綴ったこの書を読み、 いたく感動した久場さんは、伊波氏に 直接交渉して講演会を開いたことがある。 「この本を読んだら、優しい気持ちが 心の底から湧いて出てきますよ」と薦めてくれた。

 お店の名前を当初は「花に逢はん」と 付けたかったのだが、 著作権に関わる問題があり、許可が下りなかった。 それではと、伊波氏に「名付け親になってほしい」と頼んだところ、 「花人逢」を考えてくれたのだった。道理で。 みんな、優しい気持ちになりたいから、 何度となくこの場所を訪れるんだね。(沖縄王・Kiyomi G.)





メニュー
ピザ大 2000円
ピザ小 1000円
やさいサラダ 500円
生ビール 500円
ウーロン茶 250円
オレンジジュース 250円
紅茶 350円
ホットコーヒー 350円
アイスコーヒー 350円
あんず酒 350円





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