看板にも「てびち専門」の文字が掲げられている
最後の一滴までおいしい「てびち汁」
壁に張られた手書きのメニューもいい味を出している
店長の安村正さん。先代からお店を引き継いで20年余、おいしいてびちを提供し続けている
住所：浦添市屋富祖3-7-9
→地図
電話：098-877-3313
営業時間:午前11時30分〜午後9時
定休日:木曜日
駐車場:なし（近くにコインパーキングあり）
「とびきりおいしいてびち汁（または、てびちの煮付）を食べたいなぁ」と 言う人がいれば、私は迷わず浦添市屋富祖（やふそ）にある 「ひかり食堂」を勧める。ここの「てびち」、皮までホロロンと軟らかいのだ。 まさしく口の中でとろけてしまうという感じ。
丼の中に入っている豚足は分厚いお肉なのに、 中まで味がよぉ〜く染み込んでいる。そして、 脂っこくないのだ。てびちは食べても、 汁は脂っこくて残してしまうことがよくある。 だが、ここの「てびち汁」は最後の一滴になるのが惜しいほどだ。 この味は一度口にしたらもうゼッタイに忘れられない。 あぁ、おいしかったなぁ。
白状してしまおう。実は、私、今この原稿を書いている 最中もあのおいしさを思い出し、生ツバゴックンという状態なのである。 また、食べたいなぁ。
というように、今でさえ興奮さめやまぬ 状態なのだから、「てびち汁」を食べきった直後の 私の様子はお察しできますよね？ 「てびち汁」を残さず飲み干して、 たくあんと一緒に御飯も一粒残さず平らげた後、 店長の安村正さんに「とってもおいしかったです」と率直に感想を伝えた。 すると、ニッコリ微笑んで、一言「やみつきになる人もいるんですよ」。 うん、間違いなくいるはずだ。何を隠そう私もその一人。
「ひかり食堂」は創業43年という歴史のあるお店だ。 創業時は普通の食堂だったが、タクシーの乗務員さんたちの間で 「てびちがおいしい」と口コミで広がり、お店の看板に 「てびち専門」と掲げるまでになった。 進学・就職のため県外で暮らすことになったかつての常連さんの中には、 帰省した際、大きな荷物を抱えたまま空港からここに直行する人も いるのだとか。ここのてびちは、ふるさとに戻って一番先に食べたい味というわ けだ。 もちろん、歴史の長い食堂だから、地域の人々にも愛されている。 家から鍋を持ってきて、てびちを入れて帰る人もいる。 なるほど。てびちのテイクアウトというわけだ。それはいい。
てびちで有名な食堂だから、当然ながら、てびちの注文が圧倒的に多い。 しかし、ほかのメニューも充実している。 安村さんは意識的に沖縄料理をメニューに増やした。 それには理由がある。ガイドブックなどで 「てびちの店」として紹介されるようになり、 若い観光客が訪れるようになった。 少人数で訪れるお客さんには、てびちだけでなく、 ほかの沖縄料理も味わってもらえると思ったからだ。
店内の壁に張られたメニューには「てびち汁」「てびち煮付」「てびちそば」 と記された紙が、 時を刻んだことを知らせるようにちょっと茶色がかっている。 一方、安村さんの心遣いで新しく登場した料理の数々は 真新しい白い用紙に記されている。そのコントラストがまた いい味を出している。そう、話したら、安村さんは照れたように微笑んだ。 私は、慌てて「そのままおいててくださいよ。これがいいんですから」と 念を押してしまった。
メニューの横には、テレビの取材で訪れた向井亜紀さんと 全軍労委員長時代からの常連さんという元衆議院議員の上原康助さん、 県内で若者に人気のあるDJのマスミさんのサイン色紙が飾られている。 ほかにも、オキナワンロックの大御所の宮永永一さんやかっちゃんも よく訪れるそうだ。あのパワフルなステージの源は意外とここの てびちパワーによるものなのかもしれない。
「ひかり食堂」の店名は、店長さんのお父さんである安村光信 （こうしん）さんの名前から一字をとって名付けられた。 2代目店長の正さんは先代の味をしっかり引き継いでいる。 新鮮な県産生肉を仕入れ、毎日5時間ほどかけて 煮込む。その間、正さんはマメにアクをとる。 おいしさの秘訣は「ただ、それだけですよ」とサラリと語るが、 これだけ手間と愛情をかけて仕上げられるてびちは、 店名のように「ひかり」輝いている。 うぅむ、もはや我慢の限界。近いうち、また、食べに行こうっと。
(S)
メニュー
てびち汁 700円
てびち汁（大） 850円
てびち煮付 700円
てびち煮付（大） 850円
てびちそば 700円
煮付 650円
中味汁 600円
焼そば 600円
沖縄そば 500円
野菜そば 600円
ウンチェーバー 600円
とうふとニラのニンニク炒め 600円
みそ汁 550円
カレーライス 600円
オムライス 600円
肉そば 600円
牛肉とピーマン炒め 650円
ナーベーラー味噌炒め 600円
ナス味噌炒め 600円
とうふチャンプルー 600円
ゴーヤーチャンプルー 600円
中味ニラ炒め 600円
すき焼 650円
レバニラ炒め 600円
野菜炒め 600円
とうふ汁 550円
からしな炒め 600円
チャーハン 600円
青パパイヤとニラとニンジンの三色炒め 600円
ビール 500円
コーラ 110円
ジュース 110円
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