ところどころに親切な看板があって、ちゃんと案内してくれる


道案内してくれた看板と同じ温かな文字が最初に出迎えてくれる

窓の外には中城湾の絶景が広がる


「定食」メニューは体にやさしい健康食


住所:北中城村字仲順273
地図
電話/ファクス:098-935-5147
営業時間:午後3時〜午後10時
定休日:日曜
駐車場:2台


景色、食事、オーナーの心くばり、すべてに満足できる「仲順日和」(ちゅんじゅんびより)

 北中城村石平交差点と渡口交差点の道中に、 黒地に白い文字の手書きの看板が点在している。 「仲順日和」という喫茶店の看板だ。その店名も、その文字も、 なんともいえない味を出している。 温かさがにじみ出ているのだ。これはもう、行ってみるしかない。

 というわけで、訪ねてみることにした。 あの温かな文字の看板はところどころに親切に設置されている。 導かれるままアメリカン住宅の立ち並ぶ通りをたどっていくと、 道案内してくれた看板と同じ温かな文字の看板が私を出迎えてくれた。 期待を裏切らないたたずまいだ。

 ここは、オーナーの小浜さん夫妻の自宅を開放して作った喫茶店だ。 玄関の扉を開くと、靴をぬいで店内にあがる。 そのせいもあって、自宅に帰ってきたような、 仲のよい友人の家を訪ねたような、そんなリラックスした気持ちになる。 店内に入ると、大きな窓からは中城湾が一望でき、思わず息をのむ。 絶景なのだ。高台なので、眺めはいいだろうと思っていたものの、 これほどまで美しい光景に出会えるとは、正直、思っていなかった。 感動モノである。

 感動するのは景色だけではない。 おまかせ「定食」は、すべて健康に気を使ったものだ。 主食は玄米・あずき・押麦・モチキビ・黒米など、 現代人に足りない穀物が取り入れられている。 味噌汁はかつお・こんぶ・しいたけを顆粒にしたものを使い、 プルーンとプロテインを入れてある。 主菜は定番の「おからサラダのおいなりさん」を はじめ、ヘルシーで手の込んだものばかり。 副菜に根菜サラダと日替わりの酢の物が ついてくる。これだけ充実した内容で1000円というから驚きだ。

 料理を手がけている妻の恵美子さんは食材の栄養素などに詳しいので、 「もしかすると元栄養士さん?」と思い、尋ねてみた。 しかし「いいえ」という答え。なんでも、自身がリウマチを 患った期間があり、その際、食生活を徹底的に見直したのだという。 その結果、「一生付き合う人が多い」と言われている リウマチを克服したスゴイ人なのだ。 店内にある愛らしい人形やランチョンマット、 コースターなどもすべて恵美子さんの手作りだが、 それは、リウマチ治療のひとつとして手先を動かすために始めたものという。 苦しかったはずの闘病生活の中で出会ったものすべてを昇華している 方だと思い、またもや私は感動してしまった。 そして、きわめつけがこの言葉だ。

 「私がお客様に出す料理は、自分の家族に食べさせたいと 思うものだけです」。食に限らずあらゆる世界で、 恵美子さんのような思いを持つ人たちであふれれば、 間違いなく私たちの暮らすこの世界は輝かしきものになるに違いない。 窓の外のこれまた輝かしい光景を眺めながらそんなことを思い、 コーヒーを飲み干した。

 おいしいコーヒーをいれるのは旦那さんの担当だ。 退職後2年目にこの「仲順日和」を開いた。 「これでもコーヒーのいれかたを勉強したんですよ」と 謙虚に話す。「おいしいですよ」というと、 「お世辞でもうれしいですね」と謙虚な言葉が返ってきた。 コーヒー豆は週に2回焙煎されたものを使っている。 新鮮な分だけ香りがいい。そうそう、 ここでは恵美子さんがお店を開く前から趣味で集めてきた たくさんの素敵なカップの中から好みのカップを選ぶことができる。 「器も楽しんでいただきたい」という心くばりだ。 常連さんの中には毎回異なるカップでコーヒーを味わうことを 楽しみにしている人もいる。

 店内に流れているBGMも優しい歌声で実に心地よい。 そう思っていたら、なんと、小浜夫妻のお嬢さんのCDだった。 お嬢さんは小浜いちえさんというミュージシャンで、 現在はブセナビーチテラスなどのリゾートホテルや ライブハウスでピアノの弾き語りをしている。 作詞・作曲も手がける実力派だ。 お客さんに好評なこのCD「tamtam」(1470円)は 店内でも販売されている。 小浜夫妻のもう一人のお嬢さんで、インテリアコーディネーターである 二女の二香さんは「仲順日和」という素敵な店名の名付け親である。 また、店の壁に飾られた美しい花の写真は小浜さんの妹さん の作品である。この温かな空間は、 まさしく小浜一家で作りあげたものなのだ。

 小浜夫妻は喫茶店を始めようと思い続けていたわけではない。 だから、店内の一角にある和室部分にはトートーメー様もいらっしゃる。 小浜さんは「(ご先祖様に)温かく見守ってもらっているので安心です」と言う。「にぎやかになったので、(ご先祖様は)ゆっくり休めないはずよ」と付け加え ていたが、小浜夫妻のおかげで、多くの人が素晴らしい景色を眺めながら、 おいしい食事やコーヒーを口にしてヌチグスイしているのだから、 きっと喜んでいるに違いない。

 「仲順日和」は摸合の席で利用する女性客が多い。 夫婦二人で切り盛りしているお店なので、 小グループで訪れたい場合はあらかじめ電話で予約をいれておいた ほうがいいだろう。取材時も、私の母と同年代とおぼしき女性7人の予約が 入っていた。美しい夜景のことで場が盛り上がっている。 これから、あのお母さんたちはゆったりとした時を過ごし、 日ごろの疲れを癒していくのだろうなぁと思いながら、 店を後にした。(S)

メニュー

オリジナルブレンド 350円
アメリカン 350円
ヨーロピアン 350円
コロンビア 400円
ブラジル 400円
モカ 400円
キリマンジャロ 400円
ブルーマウンテン 500円
冷しコーヒー 400円
紅茶(冷・温) 400円
シチリアおれんじ 400円
ミキプルーンじゅうす 400円
ビール(500ml) 500円
ハーブぶれんどティー(クミスクチン・うっちん・月桃・グァバ・レモングラス・クールミント) 400円


ヒラヤーチー 350円
ケーキ(単品) 400円
ケーキセット(お好きなケーキとオリジナルブレンド) 700円
定食 1000円(+500円でケーキとオリジナルブレンド)

※取材時の定食メニュー
主食 玄米(あずき・大豆・押麦・モチキビ・黒米)
主菜 かじきマグロのソテー・おからサラダのおいなりさん・ 人参のみの揚げ・れんこんのはさみ揚げ・タロイモの煮つけ・豚肉の昆布巻
副采 根菜サラダ(カボチャ・トマト・ブロッコリー・大根・アスパラ)
   酢の物(春雨・わかめ・きゅうり・タコ)
みそ汁 (プルーン・プロテイン入)




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