佐敷町新里129  →地図
電話:098−947−1187
営業時間:午後2時〜午後9時
定休日:月曜
駐車場:数台分



茶話屋「風の里」

 今も昔も雑誌をにぎわせている企画の1つに「隠れ家」がある。「隠れ家」は他人に教えたくないものをいう。実は今回紹介する「風の里」は、お客さんたちが「教えたくないなぁ」と思っているまさしく「隠れ家」なのだ。でも、沖縄王はどーんと紹介します(太っ腹!)。

 佐敷の山の中腹にある。景色は抜群だ。与勝半島から中城湾、そして佐敷の海までが見わたせる。外をながめながら、ぼーっと考えごとをするのに打ってつけの環境だ。高さ3メートル以上はあろうかという窓が東に向いているので、特に満月のときは最高の景色を手中に収めることができる。まん丸いお月さまが昇ってくるのを見ながら、壮大な宇宙に思いをはせるもよし、うさぎに話しかけるもよし、「いま満月を見ているんだけどね」と大切な友人に携帯電話で実況中継するもよし(ただし小さな声でね)。

 「自然イコールやんばる」という公式しかないわけではないと気づかせてくれる。そう。自然は南部にだってたくさんあるのだ。

 この地は店主の高江洲あやのさんが3年がかりで探し出した場所だ。那覇生まれ、那覇育ちの高江洲さんは南部に土地を買うと決め、不動産屋にさまざまな土地を何十回となく案内してもらった。しかし、どこを見ても、理想と違う。「見つけるのに10年かかりますよ」と不動産屋が悲鳴を上げたこともある。そんなとき、全く知らない不動産屋が電話をかけてきた。「見てみますか」と誘われ、期待せずに出かけたところが、ひと目見て「あっ、ここだ」とピンときた。

 眼下に広がる景色を見て、「私たちだけがこの景色を占有しては申し訳ない。みんなで共有できる場を作る必要がある」と思った。いつか店を開けるよう、その場所だけは確保して、自宅を建てた。

 150坪の敷地にはクバや竹、ソテツなどが生い茂っていた。「クバは久高島では神の降りる木と言われ、県内でも生えているところは少ない」(高江洲さん)ということで、一部を残してある。古井戸も残した。「井戸をつぶすのはよくないと沖縄では昔から言われているので」(高江洲さん)補修したのだ。

 店は1999年3月21日に営業を始めた。客層は幅広い。「ここに来るといいあんべーぐぁー」と言う男性2人組がいる。会社員風の男性がコーヒーを手にくつろぐこともある。夜1人でやってくる女性もいる。心地よい空間だけに、心を開放できる場なのだ。

 パンもケーキもお菓子もすべて手づくりである。しかも、そのすべてに黒糖を使ってある。健康的である。価格面への気遣いも十分だ。お客さんの財布が寂しくならないようにという配慮から、割安感のある価格に抑えてあるうえ、そこに消費税が含まれている。

 店内には環境や人権、平和などの問題に関するパンフレットや書籍、ポスターなどがある。写真家・石川真生のポストカードもある。「商売によくないよ」と小さな声で忠告されることがある。実際問題、主義主張を旗幟鮮明にするのは商売上マイナスになる危険性が高い。しかし、高江洲さんは静かに言う。「もちろん押しつけはしません。私はシュプレヒコール式の運動には違和感がありますので。でも、だから、組織に属さず、個人として行動しているんです」。パンフレットなどに触発されて、関心を持つお客さんがいる。「まず知ってもらい、関心を持ってもらうこと」が大切だと高江洲さんは考えている。しなやかな戦術である。少ずつだがその輪を広げているようだ。

 まぁしかし、堅苦しい話抜きにまずは訪ねてみよう。静かな時間と心安らぐ景色と真心のもてなしが迎えてくれる。

メニュー

(珈琲)
オーガニックコーヒー 400円
風の里ブレンド 350円
アイスコーヒー 350円
(おかわりは200円)

(紅茶)
オーガニックスパイスティー 500円
オーガニックダージリンティー 350円
アイスティー 350円

ココア(ホット・アイス) 400円
ミルク(ホット・アイス) 350円
ジュース(トマト・100%オレンジ・野菜フルーツ) 350円
ビール(オリオン中瓶) 600円
薬草茶(花ぐぁーし2個つき) 450円
パンセット(パン2個とドリンク、サラダ) 650円
ケーキセット(かぼちゃのチーズケーキセット・シフォンケーキセット) 600円
(ドリンクはコーヒー・紅茶・ジュースから)



手づくりおかし
クースケーキ 250円
にんじんケーキ 250円
花ぐぁーし(黒糖のちんすこう5個) 200円
 
アイスクリーム 350円

(軽食)
玄米御膳 650円
つるつるうどん 500円
焼きおにぎりセット 450円
玄米おにぎりセット 450円





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