今夜は最高!
ライブハウスケントス


 今年10月1日に17周年を迎える。 1950〜60年代の懐かしい洋楽を中心に 幅広い音楽を楽しませてくれる老舗である。 30代後半以上の人にはお馴染みといっていいだろう。

 17周年を迎える今年も ケントスは健在である。ケントスは健闘す、とはあえて 言わない(←言ってるって!)。

 ケントスは全国に16店ある。沖縄にあるのは そのうちの1つである。

 店内は典型的な「古き良きアメリカ」の雰囲気が漂う。 いや、よく考えてみたら、私は米国本土に行ったことがない。 米軍基地内のレストランなどの雰囲気に似ている、と いうのが正しいかな。

 私が訪ねた夜は「ダイナマイツ」が舞台を務めていた。 男性陣はみんなリーゼントで頭髪をばっちり決めている。主な歌い手の男性は 甘く柔和な表情である。同性の私でさえ惚れ惚れしてしまいそうだ。 にしきのあきら似の人もいる。一方、マイクを握る女性たちも 魅惑的な表情や軽やかな踊りを見せてくれる。いいなぁ。というわけで、 これまた見とれてしまう。

 このダイナマイツが登場し、 軽快な音楽を演奏し始めると、お客さんたちはその場に 立ち上がって踊り始めた。40分の演奏はあっという間に終わる。

 演奏は1日に6回行われる。夜が更けるにつれ、店内は盛り上がってくる。 最初は座って見ているだけの私ではあるが、 「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」を座右の銘に しているせいか、血が騒ぎ出す。

 私は友人に声をかけた。「踊りましょう」。 その場で手足を動かす程度ではあるけれど、 これがかなり楽しい。ノリのいい音楽に合わせて、 舞台の女性が片方の目を閉じ、人差し指を私に向けて「バーン」と やってくれる。私も同じように人差し指を彼女 に向けて「バーン」と返す。むふふ。どうしてこんなに楽しい のだろう。やっぱり「踊らにゃ損損」は正しかった。

 お客さんの希望に応じられるように、 演奏者と店の関係者が集まって新しい演奏曲を決める。 「スタンダードはもとより、テレビCMで使われているオー ルデイズにも目を配ります」と副店長の中山一朗さんが 教えてくれた。実際この日は「テルヒム」が 演奏されていた。テレビドラマ「アリーマイラブ」で 知られる音楽である。

 ふと店内を見渡すと、いつの間にかほぼ満席になっている。 10代から60代くらいまでの幅広い年齢層で、 全体的に女性客が多いようだ。 地元客だけではなく観光客もいる。かりゆし服姿の人もいれば 背広姿の人もいる。

 再びダイナマイツが登場する。 演奏とともに、お客さんの多くが待ってましたとばかりに 立ち上がる。三沢から来た自衛隊員や米兵も楽しそうに踊り出す。 サックス奏者が客席に飛び出してゆく。

 ケントスの話によると、 午後10時10分と午後11時35分にそれぞれ始まる演奏が一番盛り 上がるらしい。

 「ケントス」と聞くと、「値段が高い」と思う人がいるだろう。 そういう人にお薦めなのが、月曜から木曜の午後6時から同11時までの 時間帯である。1人2500円で食べ放題飲み放題なのだ。 午後11以降は追加料金500円を払えば最後までいられる。 ただし、食べ放題の最終注文は午後10時10分であることは知って おきたい。

 ここで強調しておきたいのは、 料理がうまいことだ。料理には全く期待していなかっただけに、 驚いた。

 生演奏は午後7時35分の第1回を皮切りに、午前2時開始の第6回まで ある。生きててよかったなぁと思える時間になるだろう。

 同性の友人同士でもカップルでも家族連れでも楽しめる。 また行こうね、ビーンさん。(文=沖縄王・西野浩史、 写真=沖縄王・BEEN仲栄真)


住所:那覇市松山1-14-19 ペアシティビル地下1階 →地図
電話:098-868-1268
営業時間:月曜から土曜 午後6時〜午前3時
     日曜・祝祭日 午後6時〜午前0時30分
駐車場:ない。近くに有料駐車場がある





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