絶景100景--第13景

グラデーションのかかった橋と羽地ダム

 「グラデーションのかかった橋、見たい?」という 友人の一言をきっかけに、私は友人4人と ドライブに出かけた。「橋」に「グラデーション」という 普段聞き慣れない単語の組み合わせに 胸を踊らせながら、名護の「羽地ダム」へ向かって 車を走らせた。

 名護ネオパークを過ぎると、 「羽地出張所」と書かれた青い看板が見える。 看板通りに右折し、 真っすぐ進むと羽地ダムに辿り着くのだ。

 右折したところの左側には、 澄んだ川が流れている。その川には、 もうあまり目にすることがなくなった赤トンボやアメンボが いる。「昔は沖縄市でもこんな赤トンボがいたなぁ」と 思わず見とれたほどだった。真っ赤で色鮮やかな 赤トンボは私を童心に帰した。

 しばし川遊びを堪能し、ダムに向けて車を走らせる。 周りは緑一色だ。窓から入ってくる風が 冷たく、すごく気持ちいい。

 「ん?! 何だアレは?!」。緑一色の木々の間に ピンクの「何か」が見え隠れする。 私は友人に興奮ぎみに尋ねた。「アレか?!」。 友人はニヤリとしながら答えた。「アレだよ」

 橋のたもとに着いた私は「おぉぉぉぉぉ」と 思わず声をあげた。グラデーションのかかった ピンクが目の前にあるのだ。周りは緑一色なのに、 そこだけピンクなのだ。私は興奮し、友人と来ていることを 忘れ、写真を撮り続けた。 橋の上からの景色も絶景だ。思わず橋の上で スゥゥゥーッと大きく深呼吸した。

 橋を過ぎても道路は山に向かって伸びているので、 景色をまだまだ楽しめる。あの山の木々独特の匂いを 感じながら、要所要所で車を止めて緑を眺める。 「いい! すごくいいなぁ♪」

 ダムはまだ完成しておらず、工事をしているところが ある。しかし、芝生を敷き詰めた広場があるから、 スポーツなどを楽しめそうだ。 あるいは、天気の良い日に弁当を持ってきて緑の中で 広げて食べる……。それだけでも日々の 疲れを回復できるだろう。
 
 余談だが、グラデーションのかかった橋の名前を 「またきなおおはし」という。ユニークだ。 「またおいで」と言われているような感じがする。 大自然の景色とこの不思議な感覚を味わいに、 羽地ダムにまた足を運んでみたくなった。(沖縄王・ 喜友名朝也)





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